
和工房 包結 京都教室「水引の会」2025年のテーマ「シルクロードをむすぶ水引の会」が1月から始まりました。
ケルトと水引の関係をライフワークとして研究を続ける森田にとって、ずっと取り組みたいテーマとしてあがっていたシルクロード。
シルクロードを通って伝わったとされる文様や文化、装飾品の他、森田が長年の水引の研究を通して気付いた西洋と東洋の文化に現れる類似性や普遍的なテーマをご紹介していきたいと思っています。
ところで、「シルクロード」は一体どこからどこまでを指すのでしょうか?
実は「シルクロード」の範囲については明確な定義がないのだそうです。和工房 包結の水引の会では、東光書店発行の「シルクロード歴史地図」にある以下の定義に基づいて考え、今回はスタートを「ローマ」、ゴールを「飛鳥」としました。

「シルクロード」とは、中国から中央アジアを横断して西方に通る歴史的な東西交易路のことです。古代に絹織物が中国から西方に運ばれた交易路に対して、19世紀末にドイツの地理学者リヒトホーフェンが「ザイデンシュトラーセン」(ドイツ語で「絹の道」の意。「シルクロード」はその英訳)と命名しました。その後、絹の交易路を「シルクロード」と呼ぶならば、中央アジアを通る道(オアシス路)のほかに、北方の草原地帯、いわゆるステップ地帯を通る道(ステップ路)、南方のインド洋を経て紅海方面と中国を結ぶ海上路(南海路)、3つのルートをも含めてすべて「シルクロード」と総称するようになりました。
出典:『シルクロード歴史地図』東光書店
それでは早速、1月の教室で結んだ作品をご紹介します。テーマは「ローマ」です。

ローマの建築装飾にたびたび見られる花綱を水引で華やかに表現したフェストゥーン。
水引で結ぶフェストゥーンの初登場は2021年の「世界の装飾文様を結ぶ水引の会」でした。
今回は、藤やゼラニウム、バラ、つるバラ、ビオラを組み合わせ、よりエレガントな雰囲気に。
すべてイタリアの花ですが、藤は日本が原産。ヴェニスの商人、マルコポーロがシルクロードを通じてイタリアに伝えたという説もあるそうです。

古代ローマで祝祭や儀式を彩ったフェストゥーンは装飾として建築などに多用され、当時の西洋文化を象徴するモチーフのひとつ。
こうした意匠に宿る東西の美術様式に通じる普遍的な魅力は、シルクロードなどの交易路を通じた文化の交わりを思い起こさせます。

ローマ時代の紋章や建築装飾としても知られるロゼットを、水引の結びで表現しました。
開花した花を図式化したロゼットには、水引の梅結びとの類似性を感じると森田は言います。シルクロードを経由しながら、さまざまな文化の中で形を変え、普遍的な紋様として日本にも何らかの影響を与えていたのかもしれませんね。

ブローチタイプのロゼットは、セーターやスカーフなどのファッションアイテムに気軽に合わせてコーディネートのポイントに。

こちらはミニサイズのロゼットたち。初めての方でもレッスン内で完成させられる大きさで、ピアスやミニブローチなどのアクセサリーにもぴったり。
ローマから広がった意匠の一端を、身近な形で楽しめるのが魅力です。

ローマといえばエスプレッソ。こちらは水引で結んだエスプレッソメーカー(マキネッタ)とデミタスカップです。
エチオピアで生まれ、中東を経由してヨーロッパに伝わったコーヒーは、今やイタリアを象徴する飲み物に。コーヒー文化もまた、シルクロードが紡いだ遥か遠方の地との交流を彷彿とさせる、歴史のつながりを感じさせます。


手と比べると小ささが分かりますね!
小さくてもしっかりふたが開きます。

実物と並べてみるとこんな感じ。
かっちりバランス良く結んでいくのがポイントです。

少し大きめのカプチーノカップも。
水引で結んだスプーンもかわいいですね。

とっても小さなマルゲリータピザ。
イタリア料理は、遠くアメリカ大陸から伝わったトマトなど、新たな食材との出会いで発展してきたもの。ローマが多様な文化や交易の要所であったことを思うと、こうした食の歴史にもさまざまな国との交流が感じられます。

裏面にはブローチピンが付いています!


こちらはサラミのピザ。ストラップが付いているのでスマートフォンやバッグ、ポーチなどに付けて楽しめます。