和工房 包結 10周年展

“Gratitude”
Wakobo Hoyou 10th aniversary exhibition
in Kyoto

和工房 包結は2007年に設立、京都に拠点を移してから、2017年で10周年を迎えました。
この10年の間にたくさんの方と出会い、助けられて、ここまで走り続けてくることができました。

感謝の気持ちをこめて、2017年9月、和工房 包結10周年展を京都市内の3会場にて同時開催いたしました。
展覧会の模様をぜひご覧ください。

自然光の入る明るい会場

水引の会初期の作品達

「季節の花を結う水引の会」

椿、薔薇、菊など今も人気の高い花たち

「こよみをむすぶ水引の会」

水引で結んだマカロンやチョコレートなど、洋菓子も

水引で季節を味わう楽しさを提案してきました

クリスマスツリーなど西洋のイベントも水引で楽しみます

「季節の花を結う水引の会 二巡目」

桔梗、彼岸花、桜、胡蝶蘭など

花が好きだという森田。未生流華道師範でもあります

「季節の花を結う水引の会 三巡目」

カラーなど西洋のお花も

花を結う水引の会は三巡しましたので、30種以上の花を結んだことになります

「めでたものをむすぶ水引の会」

鶴亀、宝船など和のモチーフがたくさん登場した会でした

人気商品の鶴の箸置

長寿をあらわす蓑亀

祝儀袋でも一番人気の鯛

色とりどりのめでた野菜

海老はおめでたいモチーフの代表格

さまざまな「めでたもの」を結んだ一年でした

こよみをむすぶ水引の会 二巡目

「にわとりはじめてとやにつく」節分、鰯、柊、豆、鬼

「さくらはじめてひらく」桜、桜餅、花見弁当

「かわずはじめてなく」蛙、沢蟹、木苺

中央「しもやんでなえいずる」山吹、たけのこ、蝶

左「うぐいすなく」右「うめのみきばむ」

中央「あつかぜいたる」風鈴、金魚、うちわ、粽、茅の輪

「あつかぜいたる」風鈴、金魚

左「こくものすなわちみのる」右「もみじつたきばむ」

左「こくものすなわちみのる」右「もみじつたきばむ」

「そらさむくふゆとなる」南天、門松、鏡餅

人気の高い水引細工の門松と鏡餅

「ものがたりをむすぶ水引の会」

グリム童話、アンデルセン童話など西洋のものがたりをモチーフにした一年

「ブレーメンの音楽隊」

「ヘンゼルとグレーテル」

「おやゆび姫」「赤ずきん」

「こびとのくつや」

「モミの木」

「きもの文様をむすぶ水引の会」

琵琶、笙、琴、鼓など伝統的な和楽器

「玩具尽くし 女の子」

カラフルなだるまや雪うさぎなど、昔の女の子のおもちゃ達

「玩具尽くし 男の子」

本当に回せる独楽や、物を入れられる文箱

10年間の教室で教えてきた作品たちがずらり

和工房 包結の人気商品たち

金具を使わないのでお茶をされる方にも人気の高い水引帯留

結びの美しさを楽しめるワインバッグや、芸艸堂さんとのコラボ商品

森田江里子の著作も並びました

2018年の干支、犬がかわいい水引の犬張り子に

お供え飾りや、水引で結んだ和菓子やお花のセット

12ヶ月を愉しむお供え飾り

三宝に乗せる飾りを変えて楽しみます

桜餅、きんとんなどかわいい和菓子を水引で結びました

明るい会場でじっくりと作品をご覧いただきました

明治24年創業、日本唯一の手木版和装本出版社である「芸艸堂」

会場はこちらの2階でした

水引を愉しむ

芸艸堂

和工房 包結がこれまで水引教室で発表してきた作品を展示しました。

会場は明治24年創業、日本唯一の手木版和装本出版社である「芸艸堂」さん。水引教室に長く通ってくださっている生徒さまも多く、初期に登場した作品をなつかしそうにご覧になっていました。

こうしてずらりと並べて見るのは森田自身も初めて。自身の結びの技術も10年の間に成長していることが分かって感慨深い展示となりました。

築120年以上になる町家の画廊「堺町画廊」さん

入り口から奥を望む

森田江里子の姉弟子による伝統的な結納飾りをご紹介

伝統的な関東式結納飾り

現代のくらしに取り入れやすい結納飾りのご提案

結納代わりのお顔合わせで指輪を贈られる時に

京町家ならではの通り庭

通り庭に展示した厄除けや長寿祝いの水引折方

古来、長寿を祝って年長者に贈られた水引折方の長寿祝い

「米寿」を祝う水引折方

「卒寿」を祝う水引折方

女性の厄払いを願う水引折方

男性の厄払いを願う水引折方

「移徙(わたまし)」は火伏のお守り

「船おろし」は水難除けのお守り

通り庭にすむめだか達

「火袋」とよばれる高い天井が印象的な画廊

伝統を受け継ぎ、現代の暮らしに寄り添う水引飾りたち

仏壇のないお家でも、故人やペットの存在を感じられるお供え棚

故人の好きだったお花の水引細工とお水、お写真を飾って

一輪挿しに野の花の水引細工を

水引のあかりの穏やかな光

水引で結ばれた鏡餅

お正月飾りの「掛蓬莱」

おめでたい席にぴったりの水引飾りのついた箸袋

気軽にくらしに和を取り入れられる、お正月飾りのピック

「とらや」さんに特別にご用意いただいたお菓子は水引が結ばれたデザイン

現代のくらしに楽しみながら取り入れられる水引飾り

お多福と五色豆に梅の花

花祭りは、たけのこをお釈迦さまに見立てて

水引で結んだ精霊馬

月見団子にうさぎ

端午の節句飾り、七夕飾り

茱萸袋(ぐみぶくろ)

お正月飾りの「掛蓬莱」

桃の節句飾り

伝統的な水引飾りを現代のくらしに合わせて

伝統を引き継ぐ

堺町画廊

会場となった築120年以上になる町家の画廊「堺町画廊」さんは京都文化博物館にほど近く、ふらりと訪れてこられた方や海外からのお客様も見えました。

こちらでは季節の飾りや結納飾り、長寿祝いなど、伝統的な水引折方を現代のくらしに楽しみながら取り入れられる方法をご提案しました。

「とらや」さんに特別にご用意いただいた和菓子や和工房 包結が10年前にはじめて水引教室を開催させていた「町家菓子工房 凡蔵」さんの焼き菓子とコーヒーのセットをお楽しみいただきました。

水引のあかりの光が浮かび上がります

落ち着いた雰囲気の会場

ひょうたんのあかり

あたたかな光が水引のシルエットを浮き上がらせます

椿のあかり

ほおずきのあかり

水引と共通点の多いケルトの文字「a」を水引の結びであらわしました

柿のあかり

会場の照明をぐっと落とした展示

掛け軸は鳥居株式会社様とのコラボレーション

紅白の水引で結んだブーケに掛け軸を合わせて

あわび結びをつないで現れる美しい文様

鳥居株式会社様の表装裂を使ったご祝儀袋

鳥居株式会社様の「TORII 裂 WINE BAG」も

表装裂を使ったご祝儀袋は水引飾りもより華やかに

如意宝珠や宝鍵など吉祥文様を結んだご祝儀袋

創業130年。掛け軸の表装裂を扱われる老舗「鳥居株式会社」

水引の可能性

鳥居株式会社

会場は創業130年の歴史を持つ、掛け軸の表装裂を扱われる老舗「鳥居株式会社」さん。

水引という素材に無限の可能性を感じるという森田が、結びの技を思いのままに操り、水引の新たな一面を引き出した「水引のあかり」の作品を中心に、幻想的な空間を作り出しました。

三会場を巡り、最後にこちらの空間でしばらくぼんやりとあかりを眺めて時間を忘れました、という方も。

鳥居株式会社さんの表装裂を使った、コラボレーションのご祝儀袋も発表しました。

10周年展を
ふりかえって
森田江里子インタビュー

森田江里子近影

──
和工房 包結10周年展、おつかれさまでした。三会場を使ったこれまでにない規模の展覧会になりました。準備も大変だったと思うのですが。
森田
会場の構成のイメージをまとめたり、お菓子を準備したり、展示に必要な道具など手配したり、たくさんの方にお手伝いしていただかなくてはいけかったし、考える事がとても多かったです。
これまで制作した作品だけでなく新作も必要だったので、そのデザインと制作も同時進行で。3会場の搬入・搬出も大変でした。
──
今回は10周年記念展ということで、これまでの活動を振り返る作業も多かったですね。
森田
そうですね。堺町画廊に年表を展示したのですが、10年分の自分の活動をまとめるのはなかなか難しかったです。
でも、たくさんの方が関わってくれた事を振り返って、和工房 包結をスタートした10年前の事を改めて思い出しました。京都に誰も知り合いがいなかったですから。今回、助けてくれた皆様との出会いに感謝の気持ちでいっぱいです。
和工房包結の作品に共感してくれて、ついて来てくれる生徒さんやお客様にも改めてとても感謝しています。
──
10周年展で皆さんに見ていただきたかった所はどんな所でしょうか?
森田
10年かけてやってきた活動や成果ですね。とにかく息継ぎもままならず走り続けて、10年ではできないくらいの数の作品を考えだし、仕事量をこなしてきたという自負があります。
10年前は、水引といわれてもよく知らないという方が多かったのですが、今では、手芸やクラフトの一つとしても広く知られるようになってきたと思います。
水引の魅力を伝えていこうと教室やイベント出展も時間のある限り行ってきたことが、今の水引ブームにすこしでも貢献出来ていたら嬉しく思います。
──
10年間でかなりの数の教室を開いてこられましたね。芸艸堂さんでの展示「水引を愉しむ」では、10年間に生み出された「水引の会」の作品が並びました。

「水引を愉しむ」展示風景

森田
水引の会で生み出した作品は 約160種類です。京都教室では毎年新しいテーマを設定し、各月に新作を1〜2点発表してきたので。
水引教室参加者さまは、のべ約7000名になります。
──
改めてお聞きすると、すごい人数ですね。
そんな中、10周年という節目に大きな展覧会を開催した事で、感じられたことはなんでしょうか?
森田
2017年も忙しく動いていて、時間もなかなか取れず、10周年だけど特別なことはしなくてもいいかなと思った事もあったんですけど、これまで関わってくれた皆様への感謝の気持ちを表したかったんですね。まずは10周年展をやると決めて、決めたからには、という感じでスタートしました。
やってみると、10年やってきたことを整理できたことは次に何をするべきかを確認できたという意味でも、とても意義がありました。
──
ここからまた次の10年が始まりますね。
森田
はい。2017年は10周年の節目で、今までの活動の1つの完成形を迎えたように思いました。
2018年からはまた初心にかえって新たに挑戦したい事がたくさんあります。
水引の伝統的な部分、古典を広めていくこと、更に範囲を広げて水引の魅力を伝える活動をする事、作品力をつけていくこと。
海外へも展開していきたいですね。
──
今後の和工房 包結さんのご活躍がますます楽しみです。ありがとうございました。

聞き手 城下敦子(みふくデザイン)

和工房 包結の歩み

1975
東京都羽村市にて森田江里子誕生。 週四日書道教室に通う、書道漬けの子供時代を送る。
1995
女子美術短期大学服飾科卒。
1998
日本書道専門学校卒。
2006
東京両国の平沢水引折方教室にて、平沢直子先生に師事。
2007
和工房 包結を設立。 水引、日本文化を極めるには京都に住むしかないという思いから、何の伝手もないまま京都に拠点を移し、活動を開始する。
2008
第一回の水引教室を町家菓子工房 凡蔵にて 開催。
百万遍の手づくり市への出店、グループ展への参加など少しずつ活動を広げていく。
2009
百貨店(西宮阪急)に初出展。 以降、百貨店やショップ、手づくり市、ギャラリーなどでの出展を増やしていく。
京都文化博物館「京都アートフリーマーケット」に参加。
2010
通年の教室「水引の会」をこの年より京都にてスタート。以降、毎年新たなテーマで水引の会を続ける。
京都新聞文化センターなどカルチャースクールでの教室を開講。
初個展「むすび展」を布屋みさやまにて開催。
NHK京都テレビ、KBS京都ラジオなどメディア出演。
2011
京都 あじき路地にて月一回のお店を開店。
個展「むすび展vol.2〜花と光〜」を椿ラボ京都にて開催。
伊勢丹新宿店、大阪三越伊勢丹、阪神百貨店 等百貨店での出展が増え、手づくり市を卒業。
書籍や雑誌などのメディア掲載多数。
2012
個展「ご祝儀袋の中のめでたもの展 -A SQUARE OF MIZUHIKI-」を FUNATSURU KYOTO KAMOGAWA RESORT にて開催。
個展「むすび展vol.3〜恋する水引雑貨〜」をギャラリースペースあじきにて開催。
和工房 包結ホームページをリリース。
通年の教室「水引の会」や百貨店出展、カルチャーセンターでのワークショップ開催を中心に、建仁寺 塔頭 禅居庵「いのしし守」のデザインなど活動の幅を広げていく。
2013
京都新聞の2013年版カレンダー「京水引 でつづる花ごよみ」をデザイン。
東京教室を初開講。
個展「むすび展vol.4 〜はつはるの飾り〜」をつくるビル303号室にて開催。
なんばパークス産経学園、大阪産経学園、よみうり高槻文化センターでの定期講座がスタート。
2014
NHK(Eテレ総合)「すてきにハンドメイド」 に出演。
岡山の林原美術館にてワークショップ開講。
アトリエ移転に伴い、あじき路地を卒業。
個展「むすび展vol.5 〜はつはるのしたく〜」ギャラリースペースあじきにて開催。
千總460周年記念橘バッヂのデザイン製作、 フェリシモ 水引キットデザイン・製作など、 活動の幅が更に広がっていく。
教科書「中学生 キラリ☆道徳2」に和工房 包結のエピソード掲載。
「CASA BRUTUS」など雑誌掲載。
ABCラジオ 「茂山童司の栴檀代々」出演。
2015
初書籍「季節をむすぶ かわいい水引」(ブティック社)出版。
「手づくり手帖 vol.7 祝祭の手づくり」(日本ヴォーグ社)表紙、巻頭特集、付録担当。
個展「水引の可能性」をセレクトショップ京にて開催。
ヴォーグ学園心斎橋校にて定期講座スタート。
朝日放送「ココイロ」、毎日放送「ポテトなじかん」、日本テレビ「栗山千明の極める京都」 などに出演。
月刊「茶の間」、「京ごよみ手帳2015」「冬の京都 しっとり大人旅」などに掲載。
各種メディアを通して、和工房 包結の活動が広く知られるようになっていく。
2016
「季節をむすぶ かわいい水引」フランス語版 が出版される。
イギリス研修にて、水引の結びとケルティックノットとの繋がりを学ぶ。
フェリシモ「装い華やぐ和洋の花々 伝統をモダンに結ぶ水引アクセサリーの会」デザイン、作り方を監修。
リーガロイヤルホテル広報誌「RIHGAROYAL FLASH」表紙デザインを担当。
「手作りを楽しむイキイキかんたん手芸」(ブティック社)作り方を監修。
2017
2冊目の書籍「ハレの日をむすぶめでたづくしの水引」(ブティック社)出版。
名古屋三越栄店 「池田重子コレクション「日本のおしゃれ展」最終章」 出展。
MBS毎日放送「京都知新」にて水引作家 森田江里子特集に出演。
CSチャンネルTAKARAZUKA SKY STAGE「夢みるチカラ」に出演。
和工房 包結設立十周年を迎える。 これまでお世話になった方々への感謝の気持ちをこめ、芸艸堂、堺町画廊、鳥居株式会社 の三会場にて和工房 包結十周年展を開催。

そして2018年。

これまで通り、初めての方も気軽に参加いただけるワークショップ形式の「水引の会」に加え
本格的な水引折方の古典や礼法を学ぶことができる「和工房 包結 水引折方コース」、
和工房 包結認定講師の資格を取得できる「和工房 包結 講師育成コース」を新設。

3冊目の書籍も現在製作中です。

これからまたさらに10年、気持ちを新たに走っていきますので、よろしくお願いいたします。

和工房 包結 10周年展「感謝」

会期 2017年9月26日(火)〜10月1日(日)

芸艸堂 京都市中京区寺町通二条南入妙満寺前町459番地

堺町画廊 京都市中京区堺町通御池下ル

鳥居株式会社 京都市中京区夷川通堺町東入ル絹屋町128

企画

森田江里子(和工房 包結) /
石村明日香(元「セレクトショップ京」店長)

関東式結納飾り出品協力

中村瑠水子

展示協力

山田博隆(芸艸堂) /
鳥居玲子(鳥居株式会社) /
堺町画廊

奥田有紗 /
山田史代 /
岡本めぐみ /
人見友紀子 /
平岡恵美子

撮影

小西健三(CONICONI PHOTO WORKS)

グラフィックデザイン、web制作

城下敦子(みふくデザイン)

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